この商品、軽減税率の対象?具体的な個別事例で判断しよう ~軽減税率その5~
軽減税率の実施はほぼ100%確定した、という状況になっていますが、まだまだ事業者の危機感は少ないかな…という印象です。
ですが、食品を扱う事業者の場合、どの商品・サービスが8%なのか、10%なのか、は、経営を左右する問題になるでしょう。
ですが、まだまだ細かいケースでどっちかよく分からない、という状況はたくさんあります。
一応、国としての基準は明確なのですが、その基準のライン上と受け取れるような状況が世の中にはたくさんある訳です。
そういった問題を解消するために、国の指針として個別事例が紹介されていますので、ぜひ読みこんでみましょう。
- 具体的な例として、8%、10%の基準を知ることができる
- 分かりにくいパターンを事例で理解することができる
軽減税率 ややこしすぎるよ問題
消費税増税となる2019年10月にかけて、軽減税率・POSレジ活用セミナーを地方の各地の商工会議所や商工会・中小企業団体中央会の主催で15本実施しました。
そのセミナーでは、毎回数問のクイズを作って参加者に考えて貰っています。
こんな感じで。デザインは気にしない。
クイズが成立するほど難しい軽減税率の仕組みなわけです。
このクイズの出題の根拠にもなっている、個別事例について国税庁の指針が随時更新されています。
軽減税率の個別事例(PDF)が公開されています
こちらの内容を見ていくと、一応、筋は通っていることは理解できます。
が、その運用が適切であると納得できるか、は、甚だ疑問ですね。
(軽減税率やるよ、と言ってしまった手前、やらざるを得ない官僚の悲哀みたいなものもあるのでしょうが)
個人的には、一律10%でいいよと思うのです。
これに対応するシステムや仕組みの変更費用の方がムダですね。
それを言っても仕方ないので、ちょっとここで紹介したいと思います。
消費税率の判断に迷いそうな事例を具体的に紹介
軽減税率の対象となる(8%) | 軽減税率の対象とならない(10%) |
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ウォーターサーバーのレンタル | ウォーターサーバーで使用する水の販売 |
食品のお土産付きの旅行パックツアー | |
日当に含まれる飲食料品の購入(領収書をもとに実費精算) | 飲食料品の購入用途も含む、日当の支給(領収書をもとに支給するものではない) |
食料品等の委託販売手数料 | |
スーパー等における、飲食を想定しないテーブル・椅子、休憩スペースのみが提供される場合の食品の購入 | スーパー等におけるテーブル・椅子、休憩スペースでの飲食 (飲食に用いられることを想定する設備である) |
コーヒーチケットの販売(テイクアウト用のチケット) | コーヒーチケットの販売(店内飲食用のチケット) |
回転寿司店で、顧客がパック詰めする持ち帰り商品を注文する | 回転寿司店で、顧客が残り物をパック詰めにして持ち帰る(持ち帰りを想定しない注文) |
空びんの空容器改修費用 | |
自動販売機の設置・販売売上手数料 | |
従業員がバックヤードで飲食をする際の食品の購入 | |
食べ物+ドリンクを個々に注文し、一方のみ店内で食べ、一方は持ち帰る、という注文は、持ち帰り品は8% | 食べ物+ドリンクのセットメニューで、一方のみ店内で食べ、一方は持ち帰る、という注文はセット価格に対して10% |
公園やテーマパーク内での売店(園内のベンチなどフリースペースでの飲食を想定) | 公園やテーマパーク内での売店(売店が管理するテーブル・椅子等での飲食) |
紙の新聞(定期購買契約) | 電子版の新聞(電子通信利用役務の提供) |
基本的には、飲食品の持ち帰りであると判断されないケースは、原則として標準課税ですよ、というスタンスで、まあ意図はわかります。
食品の定義、物品譲渡とサービス提供の違いを把握しておけば、ある程度のケースで感覚的に判断することが可能ではあります(が、一般の人には難しいですね)。
とはいえ、実際の現場の気苦労は計り知れないですね…
今までのオペレーションに追加で、下記の作業が増える事が想定されます。
- 「店内で食べるのか、持ち帰りか」を聞いた上で、オーダーを管理
- テイクアウトと店内イートインで、メニューや店内掲示の価格を2種類記載する
- 自動券売機は、1円が対応できない。オペレーションで回避か
価格の変更は必須ですが、一律に2%上げるわけにもいかないので、しっかりと原価分析を実施したいですね。
経営者として準備すべき事例は、こちらにまとめてあります。合わせて確認してください。
弊社では、原価分析や価格設計の支援もしておりますので、こちらからお問い合わせください。