【事業再構築補助金】事業計画書は審査観点を意識して作成しよう①事業化点 【事業計画書の書き方】

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TenCy株式会社 代表取締役/中小企業診断士の高仲です。事業再構築補助金の記事を書いたら、ブログアクセスが急増してしまい、改めて関心の高さを実感しています。

アクセスが急増した記事では詳細は触れていませんでしたが、恐らく関心が高い部分である事業計画書の書き方のコツを紹介する記事を紹介します。

本記事のポイント
  • 事業計画書は審査の観点を意識して作成しよう
  • 事業化点の4項目に合わせ、事業計画書のどの部分に対応するのか分かりやすく記述するのが推奨されます

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事業再構築補助金の審査の観点「事業化点」の解説

事業再構築補助金の公募要領において、審査項目が公開(P.27~)されています。

事業再構築補助金の公募要領 P.27~より引用

これらの審査項目に従って採点されると思われますので、採点ポイントが分かりやすく事業計画書に記述されていることが推奨されます。

事業再構築補助金の審査項目「事業化点①」

本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。

こちらの審査項目①の記述からは、上記マーカーの箇所をしっかりと説明・記述する必要があるでしょう。

事業実施のための体制

体制図があると良いかもしれません。役割や職能を明記して、充分な人的リソースが確保できることを説明しましょう。外部連携企業や認定支援機関、金融機関などの組織内外の両面から記載すると良いでしょう。

最近の財務状況、金融機関からの資金の調達見込み

補助金は、原則、先に負担した上で一通りの設備投資を行い、報告を実施したのちに補助額が振り込まれます。すなわち、いったん全額を支払える財務体力が要求されます。当然、事業を継続していくためには運転資金も必要であり、資金的な余裕があることが分かるように財務状況を図表などを用いて明記しましょう。

また、高額の補助金であることから金融機関に既に話を通しておくことはほぼ必須と考えて差し支えありません。メインバンクに相談の上、資金調達の見通しが立っていることも説明できると良いでしょう。

ポイント

これまでに借入の経験が無く、メインバンクと呼べる金融機関が無い場合は、日本政策金融公庫、もしくは管轄エリアの信金・信組に相談してみましょう。これを機に取引を持つのも悪いことではありません。

事業再構築補助金の審査項目「事業化点②」

事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じ市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。

こちらの審査項目②の記述からは、上記マーカーの箇所をしっかりと説明・記述する必要があるでしょう。

競合他社の動向を把握

具体的な競合他社を1~2社定めて、分析し、差別化が可能な部分を中心に解説しましょう。競合を選定する際は、商圏の範囲や企業規模を意識するのみでなく、目標とする、ベンチマークしている一歩先を行く企業を分析するのが望ましいでしょう。

ポジショニングマップを作成できれば図示できますが、ポジショニングマップは軸を定めるのが少し難しいため、専門家と相談しながら進めると良いかもしれません。

市場ニーズを考慮

世論や市場動向を踏まえたニーズを想定しましょう。業種別審査事典業界団体の統計データ・分析レポートなどを参考にすると良いかもしれません。

ユーザー、マーケット及び市場規模が明確

具体的なペルソナを定めることが望ましいでしょう。市場規模の推定は、前期同様に参考となる統計データを探して定量的に明示できることが必要です。

市場ニーズの有無を検証

試作品やMVP(Minimum Viable Product)を用いて、ペルソナのターゲットに実際にニーズがあるか確認できていることが望ましいです。最初の顧客候補がいることで、事業の実現性にも繋げられます。

MVPの概念については、「リーン・スタートアップ」の書籍をぜひ読んでみてください。

事業再構築補助金の審査項目「事業化点③」

③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。

価格的・性能的に優位性や収益性を有する

新製品・新サービスの収益モデルを具体的な数値で表現するとともに、自社の既存事業・既存製品との比較や競合他社の類似製品との比較を持って優位性・収益性があることを具体的に示しましょう。

事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュール

簡易のWBSやスケジュール計画表を策定し、図示することが良いと思われます。そのスケジュールが実現できることが伝わるように、具体的なアクションや取引先・関係先・協力会社などの登場人物も踏まえた線表を引けると良いでしょう。

課題が明確で、課題の解決方法が明確かつ妥当

現状の会社の概要・状況を踏まえた上で、ありたい姿(Vision)とのギャップを明確にし、ありたい姿を達成するための具体的な行動計画を示すことが重要です。前述のスケジュール表と合わせて、本補助事業を実施・実現することでありたい姿を達成できることを示せると良いでしょう。

事業再構築補助金の審査項目「事業化点④」

④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

費用対効果

前述の収支計画において粗利率や収益性を明記するとともに、投資対効果が充分に収益力があることを数値的に示せると良いでしょう。付加価値額の推移や生産性の推移を、5年計画で表現できることが望ましいです。

人材、技術・ノウハウ等の強みを活用、シナジー効果

まずはSWOT分析などを実施し、自社の強みを明確にしましょう。強みは、ただ自社の優れている点を挙げるのではなく、競合他社や同業と相対的に見て優れているポイント、差別化できる優位性があることが重要です。

そして、自社のSWOT分析で得た強みを踏まえて新規事業・事業の再構築に臨むことが重要です。新規事業においてもコア・コンピタンスが活用できること、シナジー効果が技術的・ビジネスモデル的に得られることが明確に説明できるようにしましょう。


事業再構築補助金の審査の観点「事業化点」の解説 まとめ

申請が採択されるかどうかは、この部分の比重が多くを占めます。ここの採点結果と、別の記事で解説する予定の「再構築点」の採点結果が大きく影響すると思われますので、分かりやすく、しっかりと審査項目を抑えて記述しましょう。

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