Web・ホームページ制作業者への外注は難しい!依頼する際の注意点・チェックポイント6選
ITシステムやホームページは、外注企業への依頼が必要なケースが多い案件です。
私は、もともと上流ITエンジニアでもあったので、依頼者側の気持ちも受託者側の気持ちもよく分かります。
ですが、非常にトラブルが多いんです。
ITに詳しい中小企業診断士として、経営者からの個別相談を継続的にうけていますが、年に何回かはここ、ホームページ制作やシステム開発のトラブルの相談です。
この記事で、トラブルを回避するためのポイントを紹介します。
- 起こりがちなトラブルを回避するためのポイントが分かる
- こんなんじゃなかった!というホームページができあがるのを避けられる
ホームページの制作はトップクラスでトラブルが多い
何度でも言います。ほんと、トラブルが多いです。
中小企業診断士として様々な方とお会いするようになってから定期的にホームページに関する相談をうけています。
自分自身が制作を請け負った案件でも、ちょいトラブルは結構起こってます。
ちょい、で済んでるだけ、マシとも言えるんですが。
幾つか、ありがちなトラブルを挙げてみましょう。
できあがったホームページが全然イメージしていたものと違った
まずは、やはりこれ。でてきたホームページが、なにこれ?というレベルのもの。
最近は制作業者のスキルも平準化されてますので、だいぶ減ってきています。
ですが、今でも時々相談をうけます。これが発生する制作業者に限って悪徳だったりスキルが低かったりするから厄介。
一方で、発注側のスキル不足も起因しています。
適切に作りたいもののイメージが伝えられないことも、問題の一つです。
ホームページのGoogle検索上位表示を謳い文句に契約したのに、SEO対策の効果が分からず上位表示されない
基本的に、SEO上位表示を謳う業者は胡散臭いと考えましょう。
現在の検索エンジンのアルゴリズムでは、狙って上位表示するのはかなり難易度が高いです。
特に、ブログ記事発信を余り想定していないコーポレートサイトで最上位表示はまず厳しいでしょう。
SEO対策を十分に理解してサイトを構築します、であれば問題はありません。
狙って上位表示するのは難しいのでそれは売り文句にならないということです。
ホームページのデザインや文章・画像を少し変えようと思っただけで変更費用を請求された
これは、発注側の意識の問題でもあります。
ホームページは、画像や文章を差し替えたい、変更したくなることが当然です。
そのため、変更がどれほど難しいか、依頼するとどの程度の内容からお金が掛かるのか、というのは正確に理解しておく必要があります。
ちょっと変えるだけだから、簡単でしょ?というのは、保守契約を結んでいなければタダ働きをお願いしていることになる点は注意しましょう。
1年を超える長期間の契約をしてしまい、なおかつ途中解約できないので全額支払えと言われた
これは、後述のリース契約にも関わるものです。
基本的に悪徳ホームページ制作業者が使う手ですが、例えば、5年契約総額300万円をリース契約で分割払いにする手法があります。
この問題点は、途中解約ができないことです。
こういった質の悪い手を使う業者に限って、出来上がるページも酷いものなんですよね。
この手法はだいぶ減ってきましたが、最近でも2年ほど前にこれにやられてしまった経営者に相談をうけてます。
まだ生き残っているので、気を付けましょう。
保守契約などの長期の契約は基本的に一年契約で結びましょう。
中小企業庁からもホームページのリース契約に関する注意がでています。
保守契約したけど何をしてくれているのか分からない
保守契約にも、何をしてくれるかの範囲があります。
最も安い契約プランでは、トラブルシューティングのみということもあります。
契約時に、どんなケースで何をしてくれるのか、明文化しておきましょう。
ホームページ制作におけるトラブルを回避するためのチェックポイントはこれだ!
これだ!
契約書はしっかり取り交わそう
ホームページ制作業者との、制作に関する取り決めは全て契約書に書かれています。
口頭での文言や会話は、文面に残らないので契約書面に残すようにしましょう。
言った言わない論に持ち込まれてしまうと、証拠がなければダメですね。
ただし、信頼のおける業者であることが分かっている場合には、発注書で代替しても良いでしょう。
ですが、発注書の明細で何を実施するか、明記することが重要です。
事業者間の契約では、クーリング・オフ制度は適用されません。
契約したあとで、「やっぱ、なしで!」はできないので、充分に注意しましょう。
制作業者側が出してきた契約書は精読しよう
できれば、弁護士などの契約に関する専門家に契約書を見て貰うのが望ましいです。
ただし、IT/システム開発の受発注に詳しい弁護士でないと、業界特有の発注側に不利な条項を見落とす可能性があるので、確認しておくのがいいでしょう。
なお、弁護士以外の職業が業として契約書のチェックを行うことは、非弁行為に当たる可能性があることから注意が必要です。
※行政書士で対応可能なケースもあると聞いていますが、詳しく理解していないため適宜確認するようにしてください
私の場合は、IT顧問契約を締結した企業の技術顧問として、ミーティング等への同席や、ホームページ制作プロジェクトのディレクションを行うことにより支援をしています。
ホームページ制作やシステム開発特有の契約書の確認ポイントを、いくつか紹介しておきます。
ポイント① リース契約となっていないこと(最重要で確認)
リース契約には、二つの大きな問題点があります。
- 途中解約ができない
- 所有権は契約終了後もリース業者側が持つ
基本的に品質も悪いので、リース契約を提案してくる業者は即アウトにしましょう。
一方で、ホームページ制作と保守・プロモーション支援を一括で請け負うことで月額〇万円の年間契約をする、といった通常の請負契約をすること自体はアリです。
この場合は、大抵1年契約+自動更新が多いので、条件に不満が無ければ基本的には問題ありません。
分割払いの契約を提案された場合は、リース契約かどうか(途中解約ができるかどうか、契約期間はどの程度か)をしっかり確認しましょう。
ポイント② SEO対策については、何を実施してくれるのか具体的に明記されていること
SEO対策は、検索順位を保証はできませんが、上位表示されることを目指した取り組みは様々なものがあります。
業者が提案してくるSEO対策について、具体的に何を実施してくれるのか、それはどういった効果があるのか、をしっかり確認しましょう。
例えば下記のような提案は、まず怪しいと判断すると良いでしょう。
- あなたのサイトに外部からのリンクをたくさん張られるようにします!
- このツールを使って毎日〇〇するだけで検索順位があがります!
※いずれも自分が関わるクライアントが提案を受けたことがあります
ポイント③ 瑕疵担保責任
納品後に不具合が見つかった時に、いつまで無料で対応します、という条項です。
一般的には、6か月もしくは1年が多いでしょう。
普通のコーポレートサイトであれば、後々不具合が見つかることは余りありませんが、SaaSサービスなどのプログラムをゴリゴリ書くようなWebシステムを開発した場合は、こちらの条項の注意が必要です。
この注意点は、制作業者側に原因がある不具合に留まることです。
「やっぱりちょっと変えたい」という変更の依頼は別に費用が生じます。
ポイント④ 保守契約の有無、期間、金額、作業の範囲
これらは、数値で明確に記述してあるか確認しましょう。
また、作業の範囲は曖昧な表現が無いように注意しましょう。
これより以下は、契約書の範囲では余り記載されないチェックポイントです。
一般にホームページ制作の契約書には記述されないケースが多いけど事前に確認しておきたいこと
契約書は、作業の範囲と金額、期間などの責任範囲を明確にするものです。
つまり、ホームページ制作業務の具体的な進め方は余り記述されません。
従って、契約書に無い具体的な制作の進め方についても、メールや議事録などを用いて書面に残しておくことが推奨されます。
特に、下記の点について確認するといいでしょう。
ポイント⑤ 制作するホームページのデザイン確定までの手順
こちらは、一般的にはホームページの制作ツール/仕組みにより、幾つかの手順に分かれます。
外注会社の制作方法を確認し、適する進め方を採用しましょう。
①制作ツールがJimdo、ペライチなどの制作支援システムを用いるか、Wordpressの無料/有料テーマを用いる場合
この場合、多くは参考となるサイトを共有した上で、すぐに制作に入ります。
デザインに縛りがあるシステムを採用する分、限られた範囲の変更となるので制作過程の現物を見ながらすり合わせるという進め方が採用されやすいでしょう。
②制作ツールがWordpressで、オリジナルのデザインを採用する場合
この場合は、手順として(1)デザイナーがサイトを画像で制作、(2)コーダーがプログラミングしてホームページ化、の2ステップが踏まれます。
すなわち、(1)の画像である程度デザイン仕様を確定させるため、(2)の工程に入ると変更に調整が必要になってしまうことがあります。
(1)の段階で納得できるデザインであることをしっかり確認しましょう。
ポイント⑥ 定期的なミーティングの有無、進捗確認の手段
ミーティングは定期的に開催し、進捗を主体的に確認しましょう。
制作ペースにもよりますが、1~2週間に1回程度は連絡を取り合うのは最低限必要になってきます。
平均的な制作期間は1~3か月の範囲に収まることが多いです。
スケジュールの線表を共有し、お互いに進捗を確認することが重要です。
ホームページ制作業者とのミーティングに専門家を同席させるのが最も安心な最善手
ITシステム開発やホームページ制作の発注側を経験したことが無い場合は、プロジェクト推進を専門家にサポートしてもらうことも一つの手です。
ディレクション業務やプロジェクトマネージャー業務を外部の専門家に委託することができます。
もちろん、専門家への依頼費用は追加のコストとして生じてしまいますが、弊社FYSコンサルティングは経営とITが分かる中小企業診断士(私含む数名)がサポートし、制作の実業務も一部対応しております。
弊社に限らず、信頼できる第三者に相談しながら進めることが推奨されます。
(本当にIT関連の外注管理は難しい分野です…)
ぜひ、費用対効果を考えながら進めてくださいね。