商店街が生き残る道は?はばたく商店街30選からみる方向性
こんにちは、中小企業診断士の高仲です。
2019年現在、江戸川区役所前の商店会に専門家派遣として役員定例会・臨時会に出席しています。
その中で、商店街の未来について考える必要性を感じたことと、ちょうど6月にはばたく商店街30選が公開されたことから、少し分析をしてみました。
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190604001/20190604001.html
商店街の悩みは、どこも共通している
30選に取り上げられた商店街の取り組みの方向性
はばたく商店街30選で取り上げられている商店街が取り組んだ方向性は、4分類に分かれています。
- インバウンド(7商店街)
- 新陳代謝 (11商店街)
- 地域協働 (9商店街)
- 生産性向上 (3商店街)
いずれも、首都圏/地方を問わず、商店街が抱える悩みですね。
その中でも、インバウンドの取り組みが可能な商店街は、まだ恵まれているという状況です。
(外国人観光客が来訪する素地となる観光資源はあるエリアのため)
取り組んだ課題と施策を俯瞰すると
取り組みの方向性と課題は、当然のことながらリンクしています。
それぞれの方向性と、それらの商店街が取り組んだ課題と施策をざっくりと俯瞰してみましょう。
①インバウンド
取り組み課題は、外国人観光客の集客力が既にある商店街とオリンピックなどを見越してこれから取り組む商店街の2パターンがあります。
いずれのパターンにおいても、取り組む課題はインフラの整備に集約されています。
対応施策は、Wi-fi や多言語化などの定番から、シャトルバスの運行など思い切ったものもあります。この辺りが実行できる商店街の運営力は驚きですね。
②新陳代謝
取り組み課題は、高齢化と空き店舗の増加です。こちらも、殆どの商店街が悩む課題でしょう。
これに対する施策は、
- 若手を中心に活性化に取り組む実行委員会を別に組織
- 空き店舗の活用は、チャレンジショップや公共性のある施設へ
が多くなっています。
やはり、商店街の役員会では単独の商店街での活動が中心になるため、抜本的な活動や外部との連携が難しい環境です。
外部連携を見据えた若手中心の別動隊の組織は、重要な第一歩となるでしょう。
空き店舗活用で面白いと思ったのは、チャレンジショップ制度の活用ですね。
行政などの補助も得られやすく、安い家賃で一定期間物件を貸し出す制度を設けることで、成功した場合に引き続きその物件を利用してもらうことを狙うものです。リスクも小さく、取り組みやすいと思われます。
③地域協働
地域住民を主要ターゲットとする取り組みであり、主な課題は活性化や地元密着となっています。
これに対する施策の方針は、イベントの活用や地域住民向けの施設(子育てや介護)の設営が中心です。
とはいえ、他の取り組み方針と被る部分も多く、目新しい施策は少ないですね。
④生産性向上
数は少ないものの、取り組み課題としてペーパーレス化やSDGsが挙がっています。
SDGsに取り組む商店街があるのは面白いですね。
対応する施策は、省エネや環境配慮の取り組みを産学官連携で進めています。
また、ITが絡むものも多いですね。
ざっくりと分析した表
を公開します。
自身の取り組みにどのように用いていくか
私が訪問している江戸川区中央商店会は、新小岩駅から徒歩で10分超の空白地帯にあります。地域住民か、区役所に訪れる人が利用する地元民向けの商店街地域となっています。
こちらの課題も、空き店舗の増加や会員数の減少、世代交代などであり、抱える悩みは商店街共通のものです。
最初の狙うべき活動は、役員会とは別の実行部隊の組織化ですね…。
次期後継者の方など若手の方も何人かいるので、うまく活性化のための取り組みを行う組織が動き出せばいいのですが。
まずは、このレポートを役員会に共有して、はばたく30選のような目指す取り組みを設定できるかどうか、が最初のステップになりそうです。