中小企業診断士は独立して仕事を取れるのか?という疑問に回答
本記事執筆時点(2021年2月)で一回目の資格更新を迎えようとしている、中小企業診断士の高仲です。
資格取得とほぼ同時期に独立し、無事に資格2週目に入ることができそうだということを記念して、これまでの5年間で得られた経験から表題の疑問に回答していきたいと思います。
この記事は、こんな疑問や悩みを解決するヒントが欲しい方に適しています。
- 中小企業診断士が独立して仕事を取れるか?について知りたい
- 独立を考えている中小企業診断士だが、何をしたらいいか?と悩んでいる
中小企業診断士として独立したら、どんな仕事がある?
というところから、まずは整理していきたいと思います。
まずわかりやすい切り口は、①診断士協会や公的支援機関の案件か、②民間企業からの案件か、という点ですね。
中小企業診断士のお仕事①公的支援機関の案件
公的支援機関のお仕事は、独立した中小企業診断士にとって安定的に一定の収入を狙える土台作りに適した仕事です。稼働1日あたり、1.5万円~5万円程度の売上が見込めます。支援機関によって金額感は変わってきますので、公募要領などをチェックすると良いでしょう。
やはり、フリーになると収入は不安定となり、月の売上が0円というのもよくあることです。そのような状態では精神的にも疲労するため、特に独立して余り時間が経っていない状況ではとてもありがたい仕事になるでしょう。具体的な案件例は、以下のようなものがあります。
- よろず支援拠点や中小機構の専門家
- 商工会議所/商工会の窓口相談の専門家
- 各自治体や外郭団体の専門家
- 金融機関(信用金庫など)の専門家
案件を獲得するには、①公募に応募する、②診断士協会や先輩の診断士から紹介いただく、の2パターンがあります。ちなみに私がお世話になっている中小機構は①の公募から始まりました。正直、公募で独立2年目に入れたのはかなりラッキーだったと思います。たまたまIT専門家を募集しているタイミングでニーズとスキルが一致した、という印象です。
中小企業診断士のお仕事②民間企業からの案件
公的機関のメリットは安定的な仕事が得られる一方で、デメリットとしてはほぼ稼働時間=売上となってしまい、ひたすら100%全力で頑張って年商で1,000万~ぐらいかな?という天井が見えてしまう点です。また、せっかく会社員を辞めて独立したのに、その働き方だと余り大差ないよね、と、突っ込みどころもあります。
ですので、ぜひ民間企業からの案件獲得を目指して営業活動をしてみましょう。営業を自ら実施している中小企業診断士は多くないので、稀有な人材になれること間違いなしです。
営業活動については、以下の記事もご覧ください。
中小企業診断士は独立して仕事をとれるのか?という本題に入る
入ります。この内容はあくまで個人的な経験に基づく所感なので、一般化して考えないでくださいね。一人の意見としてこんなものもある、という程度で。
診断士は稼げるか① 世の中の平均的な会社員程度の収入なら割と稼ぎやすい
と思います。診断士業界に属していると、特に今の時期(2021年2月)は良くも悪くもコロナの影響があって支援制度が乱発されました。そのため、公的な案件が急激に増加するとともに、補助金などの営業活動のネタにもなる支援制度もあるので、個人的な感覚としては、あと数年は仕事の方が多い状況にあると思われます。
公的機関の案件に入ることができれば、最低限の収入にはなるでしょう。そこからどこまで上乗せできるか、は、民間案件次第になります。
ですが、その後はどうでしょうね…。バブルを期待して独立診断士が増えたとすると、バブルが弾けた後は中々厳しい環境になるかもしれません。なので、この数年のうちに様々な土台を築けるか、が重要となるでしょう。
診断士は稼げるか② トップ層の収入を狙うにはかなりのセンスと営業力が必要
トップ層の収入(3,000万以上とかですかね)は、ほぼ民間案件のみで売上を獲得しています。残念ながら公的機関案件は金額が固定なので、いくら頑張っても3,000万には到達しないでしょうね。なので、民間企業案件を創出できるかどうか、が、1,500万円ぐらいで分岐点になります。
独立した中小企業診断士の平均報酬と年収データについて
正直、これほんとか?と言いたい気分はありますが。公開されているデータですので紹介しておきたいと思います。
中小企業診断士の顧問契約の平均月額は65千円(公的メイン)/170千円(民間メイン)
民間業の顧問料平均は月額17万円という数字になっています。
正直、この数字だけの印象からするとかなり高いですが、平均5日出勤と考えると一日当たり3.5万円という、まあ並みかな、という数字になります。
中小企業診断士の年間売上のボリューム層は500~800万円
ここちらの数字も納得感が割とあるものになっています。501~800万円のボリューム層は、稼働の殆どを公的機関案件の仕事をしている中小企業診断士で、1,001~1,500万円のボリューム層は、公的機関案件と民間業務案件を適度にバランスできている診断士ではないでしょうか。
一部、補助金メインの診断士も1,001~1,500万円のボリューム層にいそうですがね…まあ、人のことを深く突っ込んでも仕方ないので。
中小企業診断士は独立して仕事をとれるか?のまとめ
今は公的支援バブル状態なので、支援者側の方が不足している地域も多くあるでしょう。東京においても、公募や募集案内をよく見かけます。その意味では、独立するチャンスだといえると思います。
一方で、会社員以上の生活ができるようになるかはその人次第ですね。当たり前の話ではあるんですが、資格だけで仕事がホイホイやってくるほど良いものでもありません。常に選ばれ続ける本人のスキルと魅力が無いと、独立したてのご祝儀仕事の次が続かないということになります。
結局のところ、営業できるスキルが必要だということです。中小企業診断士として中小企業の経営者に営業活動を指導するのであれば、まず自ら実践しましょう。