無料・低コストで経営を相談できる!?経営相談窓口の利用ポイントと選び方のコツを紹介
余り知られていませんが、世の中には無料~低価格で経営を相談できる窓口が何種類も存在しています。
ですが、利用をする際にどの相談窓口に行くか、どの仕組みで相談するか、が価値のある相談をする上での重要なポイントになっています。
この記事では、これらのことが分かります。
- 無料~低価で経営を相談できる窓口のリストが分かります
- 経営相談窓口の選び方・利用のコツが分かります
無料~低価格で経営相談ができる窓口は、実はたくさん存在する
はい。たくさん存在します。
どこもプロモーションが下手くそ自分たちで頑張っているので中々一般には知られていないですが、実は頑張っています。
特に創業期・成長期においては会社にお金が無いことも多いでしょう。
また、支援制度が豊富な事業承継のタイミングなど、利用するとメリットが大きいタイミングもあるのでそれも踏まえて利用の検討をお勧めします。
無料・低価格経営相談窓口を紹介
よろず支援拠点
各都道府県に最低1か所存在しているため、お勧めしやすい支援機関です。
また、各よろず支援拠点で専門家を紹介しているケースが多く(ちゃんと最新に更新されてるかは不明ですが)、在籍する専門家の特徴なども把握した上で相談できます。
自治体の経営相談窓口
こちらは、窓口が用意されているかどうかはその自治体次第となってしまいます。
例えば、私が所属する東京都城東支部エリアでは、江戸川区が中小企業診断士を抱えて経営相談窓口を江戸川区役所に設けています。
また、墨田区も、区役所内に「すみサポ」と呼ばれる相談窓口を委託運営しています。
お住まいの自治体のホームページを調べるか、経済産業を管轄する課に問い合わせて窓口の有無を確認するのも良いでしょう。
こちら、いずれ各自治体の相談窓口をリストアップしたいと思います。
(記事作成まで、待っててね)
商工会議所/商工会
事業所のある地区によって、商工会議所に属するか商工会に属するかは、異なります。
ですが、期待される役割としてはだいたい同じと考えて差し支えありません。
(ただ、職員には「同じだよね?」と言ってしまってはダメですよ)
担当している先生・士業にもよって、各地域で特色のある相談対応をしています。
全ての支部を確認したわけではありませんが、会員であれば基本的に無料で窓口相談をすることができると思います。
一方、専門家派遣を依頼することも可能(エキスパートバンク)です。
こちらも無料です。
唯一の問題点は、会員になるために会費が必要なことでしょうか。
マル経融資を筆頭に、会員限定で使える制度もありますので、検討をお勧めします。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
中小機構基盤整備機構は、全国各地域に「地域本部」という名称で拠点を持っており、各地域の経営窓口相談を受けたり専門家の派遣を管理しています。
中小機構基盤整備機構は、全国各地域に「地域本部」という名称で拠点を持っており、各地域の経営窓口相談を受けたり専門家の派遣を管理しています。
ここが運営する経営支援業務は、他の支援機関とは異なるポイントがいくつかあります。
私が知っている範囲であり、地方の地域本部も同様とは限りません。
<ポイント① ハンズオン支援が可能>
- 専門家派遣は「ハンズオン支援」として個別具体的な課題に応じた専門家が選定される
- 専門家によっては、民間企業の顔つなぎをしたり販路開拓を支援する等、より課題の解決を伴走的に支援してくれる
過去のハンズオン支援事例集が公開されていますので、こちらから事例に目を通すとよりイメージしやすいと思います。
<ポイント② 課題に応じた多様な専門家派遣が可能>
中小機構内でも中小企業支援の部門が複数に分かれており、それぞれの悩みを支援する部門が存在しています。
(悪く言えば、縦割りなんですがね)
所属する専門家も多数おり、多様にとんだ支援体制が構築されています。
専門家の視点でも、中小機構でアドバイザーになることは公的機関の仕事としては狭き門であるため、属する専門家はすごい経歴・実績をお持ちの方も多いです。
中小機構への経営相談は、様々な手段を取ることができます。
ホームページにも詳しく書かれていますが、ちょっと分かりにくいので対人チャットや経営相談ホットライン(電話)、メール相談を利用するのも良いでしょう。
・中小機構の経営相談のページはこちらから
・中小機構の職員/専門家に電話で相談もできます(経営相談ホットライン:050-3171-8814)
・オンラインチャット「E-SODAN」でもチャットで経営相談ができます
都道府県/市区町村の、経済・産業に関する外郭団体
都道府県単位の外郭団体である、東京都中小企業振興公社や、千葉県産業振興財団の他、東京都では市区町村においても類する団体が存在する場合があります。具体的には、板橋区産業振興公社などですね。
これらの公益財団法人等は、管轄する地域の中小企業の経営支援を行うことが役割となっています。
経営相談窓口や専門家派遣を独自に実施しています。
代表的な相談窓口として、東京都中小企業振興公社が運営するTokyo創業ステーション/Startup Hub Tokyoがあります。
創業者向けの支援施設として日替わりでの専門家相談窓口を用意する他、様々なイベントやセミナー等を扱っています。
Tokyo創業ステーションとスタハは同じ建物の1階と2階なんですが、運営母体が異なるのでちょっと違う組織なんですよね…分かりにくい。行政の縦割りの弊害。
スタハはコワーキングスペース利用も可能なので、おすすめです。
金融機関(地銀/信用金庫/信用組合)
それなりのサイズの金融機関に限られますが、融資を受けているメインバンク等に相談することで専門家派遣の仕組みを利用できます。
例えば私が所属する城東支部内に支店が多い東京都東信用金庫では、相談ブースを店内に設けている拠点があります。
また、経営状況が低迷している時期などでは、金融機関側(信用保証協会)が専門家への相談を提案してくることもあるでしょう。
特に、新規の借り入れとセットで取り組む事業についての相談は、金融機関に話を通しておくことも重要ですので、活用することが望ましいですね。
ミラサポ専門家派遣
中小企業庁が運営する中小企業を応援するサイト「ミラサポ」では、オンラインで専門家を検索・指名して派遣を依頼することができます。
無料で3回まで、という縛りがありますが、事前に専門家の特徴や専門領域・実績を下調べした上で依頼することができるので、使い勝手が良いと言えるでしょう。
ミラサポはこちらから
ごくまれに、私にも全く面識のない方から突然指名が入ることもあります。
専門領域をチェックし、ITの専門家として相談していただいた形ですね。
特定のお悩みに特化した相談窓口の紹介
これまで挙げてきた相談窓口は、基本的には経営のお悩みを一通り対応できる窓口になっています。ですが、その分専門性に特化した悩みをすぐに解決できるか、というと、そうではないケースも多いでしょう。
ここでは、これまでの相談経験から、そこまで事業者の方に知られていないけど特に明確な悩み・課題を相談できる窓口を紹介します。
なお、税金についての税務署や労務についての労基署など、わざわざ紹介するまでもないことは省略しています。
ひまわりホットダイヤル(弁護士:契約のトラブル等)
法テラス(弁護士:同上)
下請け駆け込み寺
働き方改革支援センター(社労士ほか:労務トラブル等)
はい。いろいろとあります。
その他、時事ネタは各省庁が相談窓口を設けていますので、そちらの活用もお勧めです。
今の時期だと、軽減税率や消費税がホットな相談ネタですね。
無料・低価格経営相談窓口の選び方を紹介
選ぶときは、以下の基準で判断すると良いでしょう。
(創業者・創業5年未満限定)特定創業支援事業の認定を得た相談窓口かどうか
創業志望者~創業してまだ数年以内の方は、まずここで事業計画作りを行うことをお勧めします。
認定を得ることでメリットも得られますので、経営者としての基礎作りのみでない利点があります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
窓口相談か、専門家派遣か
窓口に訪問しての相談は、移動コストがデメリットとして存在します。
一方で、基本的に窓口相談は無料のものが多いです。
(有料の窓口相談は無さそう?)
時間とコストを見合いながら選定すると良いでしょう。
価格と相談回数/派遣回数
各相談方法に応じて、価格と回数が異なります。
回数は最短2回~無制限のものまで。
価格も、完全無料から数万円のものまで。
専門性の高い課題にハンズオンで、回数の多い専門家派遣は有料の傾向があります。
選択の際に、事前に確認しておくと良いでしょう。
専門家を選択できる余地があるか、相談内容に適する専門領域を持った専門家がいるか
専門家として相談にのってくれる方々は、国家資格保有者の士業のみならず、その業界で豊富な実績を持つ独立コンサルタントもあります。
特に、商工会議所や商工会での専門家派遣やミラサポ専門家派遣は士業に限定されずに登録可能なので、経営課題に応じた専門性を持つ適任の士業/コンサルタントに相談できるかどうかは、事前にしっかりと確認すると良いでしょう。
無料でできる経営相談の利用のコツは?
無料/低価格で相談できるシステムだからこそ、できること、できないことが存在します。
対応可能な領域とマッチしない相談の仕方をしてしまうと、お互いに不幸な結果になってしまいますので、事前に無料相談の特性を理解しておきましょう。
無料の経営相談には、限界がある
これらは、専門家目線からの無料経営相談の限界でもあります。
原則として、責任を問われ得るアドバイスは実施しにくい
専門家の立場としては、行政や商工会議所などからお金を頂き、そこの窓口担当専門家として相談をうけます。
つまり、専門家の発言はその専門家に限らず行政や支援機関としての側面も持ってしまいます。
もちろん、専門家と行政/支援機関は仕事の委託者/受託者の関係であり、専門家の責任による発言となる訳ですが、委託者側としても責任皆無とは言えない訳です。
そうすると、基本的には無難な回答をすることが着地点となりがちです。
強い意見を言うことはなく、あくまで選択肢として意見する形になります。
限られた回数でアウトプットを出す必要があるため、深堀しにくい
大抵の場合、専門家派遣は回数に限りがあります。
(窓口相談は回数制限が無いものもある)
利用のコツは、相談先が実施できる範囲を事前に調べて、期待するアプトプットを明確化して相談する
相談対応を行う支援機関は、それぞれの判断基準をもって支援を行っています。
当然、同じ支援機関でも運営母体、部門長やチームリーダーの判断によって運用が変わります。
相談先の支援機関が実施できる範囲を事前に確認し、何を期待するのか、どういったアウトプットを専門家に求めるのかを意識して相談するといいでしょう。
事業計画の策定の相談なら、ほぼどこでも対応可能
対応可能です。中小企業診断士であれば、アドバイスはできるでしょう。
ハンズオンで伴走的・具体的な支援を望むなら、回数が多い専門家派遣を探す
窓口相談では現場が分からないため、形式的な相談の対応が中心になります。
具体的な現場の改善や実運用を見据えた支援は、専門家派遣が望ましいでしょう。
特に回数が多ければ多いほど深堀・深耕が可能になるので、より具体的な支援を期待できます。
無料・低コストの経営相談窓口は、このタイミングで利用するとメリットが大きい!
経営相談の対応は、特に公的機関であれば基本的には補助金や支援制度の活用を踏まえた支援が得意です。
(公的機関としては、利用者が増えることが望ましいので)
つまり、支援制度が活用できるタイミングは相談のタイミングであるとも言えます。
こんな時は、相談を検討するといいでしょう。
- 起業検討中~起業して年数が短い
- 事業承継を見据えている
- 経営状況が悪化・債務超過になっている
- ITを活用したい、生産性を向上したい
- 設備投資や出店など大きな動きを計画している
- 軽減税率やキャッシュレスなど行政主導の変化に対応する必要がある
ぜひ、有効活用してみてくださいね。