合格初年度から独立した中小企業診断士の生きる道とは?営業活動のポイントまとめ
振り返ると、診断士4年目も半分が過ぎました。常々日頃から新たな取り組みを模索しており、4年目は『本気でブログを収益化する』として新たな取り組みを継続しています。
その活動の一環として、ブログ記事のジャンルも徐々に広げています。最近のトレンドは独立診断士の活動について。
中小企業診断士の資格受験者は、多くの方が将来的な独立を見据えて試験合格を狙うでしょう。その一人として、資格の取得と同時に独立した時の営業活動のポイントについて、体験を元に執筆しました。
独立初年度は、中小企業診断士は特に売上の獲得に悩む部分だと思います。
他の士業のように法定独占業務が無いことは、独立してもうまくいくか分からないことを示唆しています。
独立したいけど、独立したらどうなるのか分からない。
そんな悩みに参考になるように、本記事を作成しています。
- 中小企業診断士の資格取得と同時に独立することがどんな意味を持つのかが分かる
- 初年度の活動の指針を持つことができる
中小企業診断士の資格取得と同時に独立して食べていけるの?
食べていけるかは、個人次第でしかないよね。
それを言っちゃあおしめぇよ。と、突っ込まれるでしょう。
ということで、ヒントになることを期待して実体験に基づく内容を公開します。
中小企業診断士の資格取得と同時に独立するとはどういうことか
中小企業診断士として独立までの流れ
一番多いシナリオは、二次記述試験を突破した段階で独立を決めるケースでしょう。
面接で落ちることは想定する必要はないですね。
その場合、実務補習15日間を選択し、3月末で退職するのが王道ルートです。
流れとしてはこんな感じですね。
面接は考慮しません。会話ができればまず落ちないでしょう。
会話ができない人はごめんなさい。
挨拶周りと診断士活動の情報収集を開始しましょう。
結果発表後、申し込みスケジュールを確認して席取り合戦に挑む。
はっきり言って、質と内容は担当になった先生次第。
運を天に任せる感じ。ここが大きな分岐点。
ここでの注意点は、開業届をいつ出すか、という点です。
その他、保険関係の手続きもさっさと済ませておきましょう。
独立までの各ステップで、もう少しポイントを紹介
ここでのポイントは、基本的に「中小企業診断士」というラベルをフル活用して独立する方を想定しています。
自分のスキルで充分に食べていける方は、ラベルが無くても独立できます。
①合格し、会社に退職の意志を伝える
ここでのポイントは、診断士とは関係ないですが…
・有給消化のシナリオ
・業務の引継ぎ
・会社からの引き留めに揺らがない意志
が大事ですね。
立つ鳥跡を濁さず、といいます。
務めていた会社によっては、外注として仕事をくれるケースもあります。
(周りの診断士でそのケースで初案件を頂いたという方も)
仮に不満を持っての退職だとしても、礼儀・誠実さを忘れずに対応しておくことをお勧めします。
② 挨拶周りと診断士活動の情報収集を開始
これが、能動的な活動として最も重要な取り組みです。
挨拶回りは、これまでお世話になった方々・経営者に退職の都合を報告し、しっかりお礼を伝えましょう。
はっきり言うと、これをするだけで最初の仕事が貰える可能性は充分にあり得ます。
優秀な経営者は、基本的に世話焼きです。
大志ある有望な人材が、会社を辞めて自立していこうとする姿を見れば、必ず応援したくなります。
しっかりと自分のやりたいことと想い、感謝を伝えるだけで、将来に繋がります。
一方で、診断士活動の情報収集も重要です。
中小企業診断士の業界は、恐らく想像以上にクローズドな世界です。
主体的に行動して情報収集しないと、資格を取るだけのコストに見合う価値は生じません。人付き合いは、面倒でもしっかりしておきましょう。
特に情報収集すべきは、「研究会」「プロコン塾」です。
ひよこ喰いという悪評も一部にありますが、一人で仕事を創造できないひよこなら喰われつつも喰い返す気持ちで突っ込んでいくのが個人的にはお勧めです。
③実務補習15日に申し込み
お勧めは、15日間コースです。
ただし、担当にあたった先生次第で感想は全く異なるものになり得ます。
残念ながら、実務補習は指導員の属人化した業務で、均一な品質になってません。
結構な金額を支払うんですがね…かなり、運要素があります。
東京エリアは、一時期はすぐに15日間は満席になる時代もありました。
最近は席が埋まらなかった年もあるらしい?
いずれにしても、申し込みの準備しておきましょう。
15日コースがお勧めな理由は、以下にあります。
- 指導員の先生や同期の仲間と濃い関係が築けること
- 独立後の活動について相談をする機会が多いこと
④実務補習に取り組む
とりあえず、全力を尽くして取り組みましょう。
1回はリーダーをやっておくのも良いでしょう。
⑤退職手続きを進めて、3月末で退職し開業手続きを進める
はい、ここでのポイントは雇用保険・健康保険です。
詳しくは次の記事で記述していますが、開業届を提出するのは雇用保険との兼ね合いでタイミングを決めるのが良いでしょう。
また、開業届と一緒に青色申告の届け出も忘れずに出しておきましょう。
これまでは会社がやってくれていた資産形成も、今後は自身で判断していかなければいけません。こちらもいずれ記事にしますが、iDeCo、小規模企業共済、投資など計画的に進めていくと良いでしょう。
診断士資格取得と同時に独立して、売上は獲得できるのか?
独立する人の一番の懸念点ですね。
稼げるのか、という根本的な問題です。
私個人の見解としては、ある程度は稼げるので、不足を補える蓄えは準備しておくべきという考えです。
よく言われる数値:3・5・7
があります。
各年の稼ぎが、独立一年目は会社員時代の3割、二年目5割、三年目7割で四年目に会社員時代に並ぶ、というものです。
仮に額面600万の人であれば(診断士は40代が多いので、平均よりは少し多め)、200万前後、300万前後、400万前後と推移するイメージですね。
周りの話を聞くと、当たらずとも遠からずかな?という印象。
もちろん、個人差が当然出てくるわけですが、目安として考えるなら悪く無いのでは。
つまり、その減額分を補える蓄えがあれば大丈夫じゃない?ということになります。
独立一年目に駆け出し診断士が稼げる売上計画は?
とはいえ、独立一年目の診断士が診断士の仕事で(ここ大事)200万稼ぐって、結構大変です。
もちろん短期の派遣社員や時短勤務を絡めれば、200万なんてすぐ超えます。
周囲でも、独立一年目は診断士活動に合わせて派遣や時短勤務を絡めていた方は結構多いです。
(特にIT関係出身の診断士は、短期の案件も豊富なのでその傾向があります)
200万がどの程度大変なのか?というのを考えてみましょう。
中小企業診断士に限らず、コンサルタントの定番の稼ぎ口の一つ。
平均単価は3万円前後ですが、ミラサポ専門家派遣などはもっと安いですね。
こちらは、安定的に案件が生じないのが難しいところ。
ツテ次第でもありますが、独立初年度は年に10回訪問があれば良い方でしょう。
⇒30万円/年
平均的な補助金申請サポートの報酬は、Google先生によると10%前後が多そうです。
申請サポートで数万円+採択時に10%という価格設定をいくつか目にすることができます。
この相場を踏まえて、例えばものづくり補助金を1件+持続化補助金を2件採択支援できれば、100万円前後の売上になります。
これは、独立初年度で1社取れたらベースとして良い感じですね。
会社員時代に培ったスキルを踏まえて顧問を取れるか、でしょう。私の場合はIT技術顧問です。
もちろん訪問日数次第で充分に可能です。
月15万円ならMaxでも週1日の訪問程度に抑えないと、雇用契約と大差ないという計算になってきますが。
上記を踏まえて、1年目の後半に経営顧問を1社獲得できれば、200万円突破が見えてくるというところでしょう。
中小企業診断士の定番の稼ぎ口である、公的支援機関の経営相談員は、ツテが無いと中々入りにくいです。診断士の資格取得初年度から公的支援機関に入るのは運が必要なので、2年目以降に踏まえて人脈形成を図ると良いでしょう。
二年目の5割、三年目の7割は、公的案件で週2~3日安定的に稼働しつつ、残りの空き稼働力を使って民間企業への営業活動を進めていくことで突破を狙えると思います。
独立一年目に駆け出し診断士が稼ぐための営業活動のポイント
独立一年目の診断士に回ってくるような、診断士ならではの仕事をあげてみましょう。
- 先輩診断士のカバン持ち的な下働き
- 補助金関係
独立診断士の有力な収入源である公的支援機関の専門家案件は、何もツテが無い状態で独立初年度から入ることはなかなか難しいです。
順番待ちしてる感もありますからねぇ…どんどん若手に入れ替わっていけばいいのに。
そうすると、有力な稼ぎ口はカバン持ち的な下働きです。
診断士協会に加入し、勢いで独立しちゃいました!仕事ください!とプライドは捨てて楽しそうに話していれば、気にかけてくれる人はいるものです。
補助金関係も初年度から案件化しやすいですが、補助金絡みが楽しい仕事になるか?というとどうでしょう。売上は獲得しやすいですが。
そんな特徴を踏まえて、自分なりに戦略を立てて活動していくと良いでしょう。
診断士資格の取得と同時に独立するメリットとデメリットは?
すぐに独立するメリットは何があるか
将来的に独立を志向しているのであれば、生活ができるのであれば早く独立するに越したことはないでしょう。
会社員と独立とでは、住んでいる世界が違います。
時間軸が完全に違います。
企業内診断士と独立診断士が一緒に仕事をしようとすると、時間軸の違いでトラブルが起きます。独立診断士は、どうしても独立診断士同士で仕事をやる方が安心です。
会社員時代の積み重ねも無駄にはなりませんが、全くもって違う世界に住むので、早ければ早いほど良いという面は確実にあります。
すぐに独立するデメリットは何があるか
助走期間として、資格取得の1年目は企業に勤めながら様々な先輩診断士と会って話をすることもアリです。
この戦略の良い面は、収入的に焦らずに済むので、しっかりと診断士の世界や人物を見極める余裕を持てることです。
お金も仕事も無いと、精神的に不安定になり、一見うまそうに見える話に飛びつきがちです。ひよこ喰いに喰われてしまう所以です。
一年間は診断士の世界の見聞を広めて、満を持して独立する、という戦略も十分にお勧めできるものです。
中小企業診断士として独立はいいものか?
独立自体、私は良いものだと感じています。
全ての判断は、自分の責任です。
会社員時代は他責にできますが、独立したら他責にしても意味はありません。
自立して生きるということの楽しさを実感しています。