改めて「フリーランス必見!!知って得するツール集」を読んでみて
フリーランス(個人事業主)開業4年目になりました。
士業の個人事務所をフリーランスと表現するケースは余り無い気もしますが、中小企業診断士として個人事務所(+コンサル会社経営)を構えているので、自分もフリーランスです。
2016年1月にフリーランスのシステムエンジニアとして、同年4月以降は中小企業診断士とフリーのITコンサルタント/エンジニアをメインに活動しています。
フリーランス・個人事業主としての開業1年目の動向はこちらでも紹介しています。
2017年に中小企業庁からフリーランス向けの行政支援制度をまとめた資料が公開され、2018年7月に更新されていたので、そちらの資料について紹介したいと思います。
「フリーランス必見!! 知って得するツール集」とは
中小企業庁が公開する、フリーランス支援の施策制度をまとめた一冊です。
- 事業を立ち上げる・独立する
- 事業を軌道に乗せる
- もしもに備える
の創業3ステップについて施策が記載されています。
事業を立ち上げる・独立する
起業・創業時のお悩みで章立てし、課題に応じた支援制度や施策を紹介しています。
創業前に知っておくといい支援制度がいくつか取り上げられていますので、知っていて損はしませんがちょっと記載内容が物足りないというのが正直な感想です。
他にも良い支援制度あるのにな…と思うことが少々。
それらの章立てに沿って紹介していきましょう。
起業・独立するまでのステップを知りたい
中小企業庁が作成した冊子「夢を実現する創業」が紹介されています。
この冊子自体は、良いものだと考えています。イラストを中心に分かりやすく創業時の事業計画として考えるべき内容が盛り込まれており、目を通しておくべき資料でしょう。
起業・独立する方法を学びたい
認定創業スクール・ビジネスプランコンテストについて紹介されています。
- 認定創業スクール
- Tips、BusiNest
- 商工会議所などの相談窓口
- 補助金・融資
が、一通り網羅的に書かれています(が、各1ページも書かれておらず、数行の解説とリンクのみ)
事業を軌道に乗せる
- Tips、大学校
- 補助金・融資
- 相談窓口、専門家派遣
が書かれていますが、Tips等は重複していますね。
各ステップで利用できる施策という観点で網羅性を優先したのでしょうか。
もしもに備える
休業補償と小規模企業共済が紹介されています。
「フリーランス必見!! 知って得するツール集」を読んでみて思う
この資料は、中小企業診断士や支援事業者向けです。
一通り施策と詳細へのアドレスがあり、確認資料に良いと思います。一方、中小企業の経営者にとってはイマイチ分からないでしょうね。
自社にとってどの仕組みを活用できるのか、すると良いのか、メリットが伝わってこないので、これを見て何かしようという動機に繋がらない。
実際、東京都の創業促進補助金を何人かの事業者に紹介していますが、認定を受ける仕組みが伝わりにくい。
特に、自治体によって認定を受けられる専門家派遣相談があったりなかったりするので、非常にややこしいです。
(墨田区は創業スクール必須なので今年の申請を断念したり)
もう少し、特定創業支援事業は自治体で統一的な仕組みにならないのかなと思う処です。
もう1個気になる点は、なんで「フリーランス」というお題目にしているのか。
まだまだ「フリーランス」というとIT業界やWebライター、デザイナー等の個人ワーカーを指すようにイメージされることが多いと思います。
フリーランスに仕事を仲介するクラウドソーシングの大手、クラウドワークス社では、「フリーランス」の定義をこのように述べています。
フリーランスは、単発の仕事ごとに契約を結ぶ形態となっています。実際には1回1回契約を交わすのではなく、一度に長期間の契約を結び、その中で案件ごとの発注書を受け取って業務を開始する…(中略)
つまり、フリーランスとは働き方・契約の仕方を指すことばであり、…
実際、飲食店経営者や、個人でショップを開いている人を指してフリーランスとは言わないですね。
所謂フリーランスと呼ばれる働き方を選ぶ人は、創業スクールを受講して事業計画書を作成して融資を受ける、みたいな手続きをとる人は殆どいないでしょう。
現状フリーランスに対して認知が殆ど無いから、認知を拡大させるためにあえてお題目をフリーランスにしたのでしょうかね?
ちょっと疑問が残る内容ではあります。
そういえば、開業診断士も、もしもに備えることは必要ですね。
個人型DCはやっていますが、小規模企業共済、資格があるので申し込んでみようかな…