ものづくり補助金の加点となる事業継続力強化計画とは?概要や申請について纏める
製造業や機械設備の導入経費が補助対象となる、人気の補助金『ものづくり補助金』の2019年の二次募集が開始されました。
今回から、事業継続力強化計画の認定が加点対象となっています。
申請の準備はできていますか?
本記事では、申請書の作成について解説していきます。
- 事業継続力強化計画の概要が理解できる
- 申請書の作成の仕方が分かる
ものづくり補助金の加点対象となった、事業継続力強化計画とは?
事業継続力ってなに?
2019年7月16日に施行された「中小企業強靭化法」に基づき、防災・減災に取り組む中小企業のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策推進を支援する制度の一つとして、事業継続力強化計画の認定制度が設けられました。
本来のBCPとして要求される事業継続計画は、自然災害・テロ・人災など様々な緊急事態を想定し、発生した場合でも事業が継続できるために損害を抑え、核となる事業の復旧と継続を可能とするための施策を定めるものです。
BCPにおいて検討すべき、定める際のポイントを紹介します。
中核事業を定める
優先して継続・復旧すべき中核事業を定めます。
中核事業の目標復旧時間を定める
緊急時において、中核事業を優先して継続・ふっきゅに取り組む際の目標とすべき復旧時間を定めます。
緊急時のサービスのレベルについて顧客と予め協議
中核事業が、緊急時にどの程度のサービスを提供できるのか計画を定め、それを事前に顧客と協議しておきます。
ポイントは、自社内での合意に留めずに、顧客と協議を行うことです。
特に顧客の重要度ランクを意識し、提供可能なサービスの質と量について予め意識をすり合わせておくことが重要です。
事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を検討する
広域的な自然災害においては、機械設備のみではなく、拠点としての能力も減衰します。また、当然その影響は自社のみに留まらず、仕入れ先、販売先にも影響を及ぼします。
自社で用いている原材料・仕入れ品をリストアップし、自社製品内におけるその部品の重要度と仕入れ入手手段としての難易度の両面から分析検討しておくことが重要です。
全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく
当然、計画は策定して終わりではありません。
事業計画の策定でもよくありますが、計画を作って満足してしまうケースが非常に多いです。作ったら定期的に計画と実績を見直し、進捗を確認しましょう。
特に、BCP対策は経営者のみで実施するものではなく、全社的に理解を得て浸透させておくことが重要です。
リスク管理の一環として、定期的に社内への話題として取り上げ、コミュニケーションを図っておくことが重要です。
事業継続力強化計画の概要と認定制度
中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画「事業継続力強化計画」を、経済産業大臣が認定する制度です。
ここで要求される「事業継続力強化計画」は、本来のBCP対策で要求される計画の中小企業・小規模企業向けの簡易版と呼べるものです。
認定を受けると、税制優遇や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。 計画には、以下の記載内容などを盛り込む必要があります。
- ハザードマップ等を活用した自然災害リスクの確認方法
- 安否確認や避難の実施方法など、発災時の初動対応の手順
- 人員確保、建物・設備の保護、資金繰り対策、情報保護に向けた具体的な事前対策
- 訓練の実施や計画の見直しなど、事業継続力強化の実行性を確保するための取組
事業継続力強化計画の申請方法
以下4つの申請書類を、主たる事務所が所在している地域を管轄する経済産業局等に提出します。
- 事業継続力強化計画申請様式(WORD)
- 事業継続力強化計画申請様式チェックシート (EXCEL)
- 存在する場合は、既存のBCP対策などの参考書類
- 切手貼付済みの返信用A4封筒
- 上記封筒を除く3つを焼いたCD-R
事業継続力強化計画の申請書の書き方について
現在、クライアントの作成をサポートしております。
これに基づき、徐々に実際の内容をベースに記載させて頂きます。
事業継続力強化計画を自力で作成したいけど難しい…という方は
中小企業診断士などの資格を有する専門家は、指導人材として中小企業庁からも期待されており、研修を受講している方も多く存在します。
国や各自治体、支援機関の無料相談の仕組みを利用して、専門家に相談しながら計画の策定を検討してみましょう。
中小機構が運営するオンラインチャット経営相談システム「E-SODAN」に相談頂ければ、適切な対面相談窓口を案内することも可能です。
事業継続力強化計画のものづくり補助金との関係性
2019年二次募集のものづくり補助金では、事業継続力強化計画の申請で加点評価されることが公開されました。
ここでのポイントは、認定済みのみでなく認定申請中でも加点対象ということです。公募期間中の認定申請は充分に可能なスケジュールとなっておりますので、ものづくり補助金を申請する事業者はぜひ事業継続力強化計画の申請を実施しておきましょう。
もう一つのポイントは、他の法令に基づく各種取得計画とは重複しないことです。経営力向上計画などでの加点を目指す方も、加点を併用することが可能です。
他の法令に基づく取得計画は、以下の通りです。
可能であれば、合わせて取得を目指すことが良いでしょう。
- 平成30年12月21日以降に申請した先端設備等導入計画の認定取得
- 経営革新計画の承認取得(有効な期間)
- 経営力向上計画の認定取得(有効な期間)
- 地域経済牽引事業計画の承認取得(有効な期間)
有効な期間とは、応募申請時から2020年1月31日までの期間と、各種取得計画の実施期間(時期等)が1日でも重なる期間があることを指します。
今後、事業継続力強化計画の認定がものづくり補助金のみでなく他の補助金にもメリットになり得る?
なり得る可能性は充分にあります。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者のBCPという点でちょっと?があるかもしれませんが、小規模事業者であっても災害時の計画を考えておくことは重要です。
もちろん、その他、事業承継補助金やIT導入補助金など、もろもろ可能性はあるでしょう。