kintone はじめました。

中小企業診断士の仕事のメインとして、ITシステム導入を支援し、業務改善・効率化を達成することに取り組んでいます。
その兼ね合いで、様々なシステムを聞きかじりする機会が多く、そういったサービスを紹介する記事も作成しています。
中小企業の皆さま、IT活用による業務改善は進んでいますか?
中小企業の多くは、まだMicrosoft Wordと Excel でデータや情報を管理し、NAS共有サーバーで社内に共有する、という仕組みで運用している会社が多いでしょう。
そんな段階の会社のIT化について、本記事で紹介したいと思います。
- データ管理をクラウドサービスで管理する選択肢を検討する
- IT化のサービスの選択肢として、kintone を検討する
中小企業こそ、クラウドサービスを用いての業務改善・効率化が推奨されます
本来、IT活用が遅れていて、なおかつ予算も規模も余り多くない中小企業こそクラウドサービスの利用が推奨されます!!
セキュリティってどうなの?
中小企業にクラウドサービスを提案すると、必ずと言っていいほどこの質問が飛んできます。
はっきり言いましょう。
情報セキュリティの専門技術者もいないような中小企業は、クラウドサービスのセキュリティに任せておけ!!!
もちろん、常に個人情報の漏えいのニュースは流れてきます。
ニュースを見るたびに、クラウドサービスの情報管理が適切なのか不安になるのも仕方ない部分はあります。
ですが、中小企業で専任技術者もいないような会社では、自前で情報を管理するにも限界があります。
中小企業のセキュリティ対策は、ウイルス対策ソフトを入れて社内NASサーバーにデータを保存する(バックアップも社内サーバー)というレベルが殆どです。
これでは、悪意のある攻撃者がいた時に対策できているか、とは言い難い。
さらに、地震などの物理的なリスクの対処も充分とは言えないですね。
kintone 導入に至るまでを考える
中小企業のデータ管理の問題点は?
IT診断士として活動すると実感することは、中小企業のIT活用は両極端ですね。
取り組みが進む企業やITベンチャー企業は、最新のシステムも積極的に活用する企業が多くあります。
一方で、建設業や運送業、飲食業などはIT活用が非常に遅れています。
遅れている業界の中でも、先進的な一部の企業とその他大勢で大きく差が生じている、という状況です。
本記事の題材はデータ管理(kintone:Webデータベースシステム)です。
データ管理は、殆どがNASサーバーの利用に留まっています。
そんな中小企業でありがちな問題は、
- 共有サーバーで管理していたエクセルが壊れる、先祖返りしている
- メール添付されたファイルが見つからない
- ネ申エクセル
でしょうか。河野太郎議員がいるから自民党を応援しても良いと思うぐらい。最近ニュースに出てこないけどがんばって欲しい。
Excel方眼紙がはびこる理由、「神Excelはおかしい」と声を上げよ(日経XTech)
ネ申エクセルをみるとぞくぞくします。寒気。スパゲッティコード担当の順番が回ってきた時と同じ感覚。
データ管理システムの選定基準は?
有名どころとしては、kintone、unitbase、働くDB、Zoho Creator、GAS (スプレッドシートのDB)などの、所謂Webデータベースと呼ばれるジャンルのシステムが候補に挙がると思います。
その中でも、kintone の特徴としては、
①スモールスタートしやすい(最小5IDから)
⇒unitbase、働くDBは難しい
②日本語の情報が多くて扱いやすい
⇒Zoho 難しい
③作るのも簡単
⇒GAS 難しい
ということで、kintone が使いやすいというのもあるのではないでしょうか。
Webデータベースとしてkintoneの導入した経験から
kintone化する管理したいデータの選定が重要
中小企業の内部では、様々なシステムで管理すべきデータが発生しています。
kintoneの、中小企業の間接部門(総務・経理)への導入をハンズオンで実施してみた経験から分かったことはこちら。
- 基幹システムをkintoneで置き換えようとすると大変
(設計思想がRDBでは無いので、データの一元管理の仕組みを作るにはそれなりにIT技術への理解を持つ人材が必要) - エクセルのシート一枚で完結するようなリストの管理は最適
在庫・発注・顧客・売上管理なんかを置き換えようとしたら涙なしでは語れなくなりそうです。一人死の行進。
エクセルに慣れたスタッフには、UIは余り好評ではない
残念ながら、エクセルに慣れており、ITクラウドサービスを余り日常的に使っていないような中小企業では、kintoneのUIは余り好評ではありません。
2次元マトリックスとして、縦と横で俯瞰してみられるエクセルに対し、1行が1レコードというCSV形式のデータに慣れるまでに多少時間がかかりました。
kintoneのUIのカスタマイズを試してみる
今回、ちょっと試してみた構造は、基幹システムまではいかないものの、多次元データを俯瞰する表を作成するという構造です。
俯瞰は、エクセルで慣れた人はよく使うので、これをkintoneで考えてみます。
kintone は、1アプリ:1テーブル(エクセルの一つのシート)が基本形で、他のテーブルを参照することは応用編という感じです。RDB的な考え方でシステムを設計すると、痛い目に会います。

こんな構造の、複数のアプリに登録されているデータを俯瞰する集計アプリを考えたわけですが、これが結構難しい。
今回の場合、俯瞰表は、kintone 開発者コミュニティでも提唱されているHandsontable の利用で落ち着き、他アプリのデータ参照にREST API を用いるということに…。この程度の構造でも、技術を知っている人じゃないと作りにくい。
下記の図は、Handsontableを使ってkintoneをExcelライクに入力しよう その1 より

こんな雰囲気の集計表を作るためには、結局、JavaScript ゴリゴリ書く必要があります。
まあ、kintone のレコード一覧表は見やすいとは言いにくいので、利用者側のニーズを考えると仕方ない部分はあるかと思います。
kintoneによるデータ管理を始めましてみた感想は
エクセルやスプレッドシートが散乱する職場に適正がある
セルの色付けや結合をふんだんに使ったネ申エクセルを簡単に代替できるかは怪しいですが、リスト管理を目的とするエクセルの代替として使いやすいことには間違いないです。
基幹システムの代替にするにはちょっと難易度が上がりそうです。エクセルの代替から始めましょう。
JavaScriptのスキルを持つ人材が欲しい
エクセルに慣れた人だと、操作性に不満を持つケースが多いです。
リスト形式の見た目や、アプリ間の連携を細かく実施したり、JavaScriptが使えることで実現できる要望がかなり出てきます。
もちろん、JavaScriptカスタマイズを有効にするには高いプランにする必要があるので、その分の考慮は必要です。
ですが、kintoneの利点は優れたカスタマイズ性にあると思っています。
カスタマイズできる人材がいるかどうか、は、判断に大きく影響してきます。
今後はkintone で簡易システムを作るという案件ももっと増えていくかな。受託会社でも作ろうかしら。